間違うと怖い申告期限。うっかりも許されない、関西電力の巨額加算税に学ぶ心構え


社会のルールの枠組みの中で商売をする。

その枠組みの最たるものが税務。

今回はそんな税務のなかで恐ろしい小話を一つ。

ちょっとしたウッカリが巨額の損失をもたらしてしまった事例です。

 

税金のお金は払ったが、提出する書類を忘れた!

人間、誰しも間違いはあります。間違いをしない人間なんてありえない。

普段キリっとしている人も、魔がさしてミスしてしまうこともあります。

 

税務でミスするとどうなるか。。。

関西電力 消費税無申告加算税

こうなります。12億円の追加納税を求められました。

 

消費税と事業所税は、申告期限の延長制度は無い

痒いところに手が届かないのが行政。法人税等の申告期限は延長できるのに、なぜか消費税と事業所税は延長がない。

今回はそんな制度から生じたミスをご紹介します。ミスの理由は、期限の延長を出しているから大丈夫だと思っていた。

 

申告書の提出を忘れた関西電力

  • 平成15年6月2日 消費税を計算して納付を申告期限内に行う
  • 平成15年6月13日 申告書を提出し忘れていたことがわかり、消費税の申告書を提出
  • 平成15年9月30日 12億円の無申告加算税賦課決定通知を税務署より受ける
  • 平成16年9月20日 取り消しを求める行政訴訟を地裁に提訴
  • 平成17年9月16日 地裁から棄却される
  • 平成17年9月22日 会社側から断念するコメント

提出を忘れただけで12億円。この12億円も実は諸事情考慮して減額されており本来は数倍です。

管理部門のコスト削減を行われている会社も多いと思いますが、そもそも、管理部門が少しミスするだけでこんなにも大きなリスクを生じさせる可能性がある点は経営者としてしっかりと認識しておきましょう。

さて、このケースは裁判まで起こしました。裁判所の判決文の一部は以下のような内容です。問答無用という言葉がしっくりきます。

「正当な理由」とは期限内申告書の提出をしなかったことについて納税者の責めに帰すべき事由がなく、制裁として加算税を課すことが不当と評価されるような場合をいうものと解するのが相当である。本件において、Xが本件課税期間に係る消費税等についてその法定申告期限内に納税申告書を提出しなかったのは、Xが同申告書の提出を失念していたということに尽きるのであって、これはXの責めに帰すべき事由に基づくものにほかならず、このように失念して期限内に納税申告書を提出しなかったXに対し行政制裁として無申告加算税を課すことは、法の趣旨に照らして何ら不当と評価されるものではない

これを受けて、会社側からのコメント

~ 略 ~

敗訴ではありますが、行政庁の裁量に委ねるのではなく、司法の判断を仰いだ点につきましては、当社としては一定の意義はあったものと考えております。

消費税確定申告書提出遅延という事務手続きのミスにより訴訟にまで発展し、世間の皆さまをお騒がせしたことにつきましては、心よりお詫び申し上げるとともに、今後、二度とかかる事態を招かないよう再発防止策のより一層の徹底に努めてまいります。

実は、本件等を受けて若干行政のルールが変わりました。支払い済みで手続き的なミスだと救済される道を新たに作ったのです。

「期限後申告書が法定申告期限より2週間以内に提出され、かつ、法定納期限までに納付すべき税額が納付されている等の期限内申告書を提出する意志が会ったと認められる一定の場合には、無申告加算税は課せられなくなる」

2週間とは短いですね。2週間と出ていますが、実際には2週間の期限に近づけば近づくほど認められる可能性が低くなるので、実務上は”なる早”で用意して提出します。

現在の申告については1月以内に変更されています(国通66条6項)。

無申告加算税の不適用制度の適用対象となる期限後申告書の提出期間について,期限内納付があった期限後申告件数(法人税)のうち2週間以内に期限後申告書が提出されたものは7割程度という状況であり,誠実な納税者に対する救済制度としては必ずしも十分でないとも考えられたことを踏まえ,今回の改正では,法定申告期限から1月以内(改正前:2週間以内)に延長することとされました

税金を払ったが、ウッカリ申告書の提出を忘れて、2週間以内に気が付く会社の割合が7割程度なんですね。

 

真偽は定かではない関西電力の消費税無申告加算税事件にかかる都市伝説

  • 担当者が机に入れて忘れていた
  • 実はミスを犯したのは税理士

さまざまなうわさが出回りました。

世の中の申告書の提出の9割は税理士が代理しています。税理士のうっかりミスで本件のような無申告加算税12億円が発生した場合は、税理士への損害賠償は避けられないでしょう。

税理士は大抵、損害賠償保険制度に入っていますが、賠償責任の上限はせいぜい数億円。12億円も損害賠償を受けて確定した場合は、通常は破産です。破産すると税理士もしばらくできなくなります。

 

税務については税理士とタッグを組んで間違いの無いように慎重にやろう

どんなに優秀な会社でも、実際に行うのは人間ですから、必ずミスはおきます。

外部のしっかりした税理士をパートナーにしてミスを予防して行くのが心構えとして必要です。

突然巨額な徴収をされるより高くないコストを定期的に払いながら適切に運営していたほうがはるかに良い。

 


 

以上、いかがでしたでしょうか。

手続き的なところでミスがあると反論しようがないですね。

凡ミスをしないように会社を経営しましょう。

著者紹介(Author Profile)

野口 仁
野口 仁イーグル会計事務所
本当はシステム開発が天職だと思っている公認会計士です。プログラムは何時間でも書き続けられます。個人的には金融、IT系、製造業系の会社が強いです。事務所としては数では飲食店のお客様が結構多いです。お客様の飲食店に伺うことも多いので太らないようにしていますが、その甲斐も虚しく最近太ってきています。

【キャリア】システムエンジニア→大手監査法人→メガバンクで銀行員→上場企業で最高財務責任者(CFO)→(ここから独立)イーグル会計事務所立ち上げ→税理士法人イーグル立上げ→イーグル会計事務所に戻る
【所有資格】公認会計士、税理士、中小企業診断士、第一種情報処理技術者、証券アナリスト、不動産証券化マスター等
【趣味】 温泉、洋楽、単車、漫画など
Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Share on LinkedInPin on PinterestEmail this to someone

野口 仁 について

本当はシステム開発が天職だと思っている公認会計士です。プログラムは何時間でも書き続けられます。個人的には金融、IT系、製造業系の会社が強いです。事務所としては数では飲食店のお客様が結構多いです。お客様の飲食店に伺うことも多いので太らないようにしていますが、その甲斐も虚しく最近太ってきています。 【キャリア】システムエンジニア→大手監査法人→メガバンクで銀行員→上場企業で最高財務責任者(CFO)→(ここから独立)イーグル会計事務所立ち上げ→税理士法人イーグル立上げ→イーグル会計事務所に戻る 【所有資格】公認会計士、税理士、中小企業診断士、第一種情報処理技術者、証券アナリスト、不動産証券化マスター等 【趣味】 温泉、洋楽、単車、漫画など