本日、ブレーキパッドの大手、曙ブレーキで12億円の不適切会計があった報道がありました。

自動車部品大手の曙ブレーキ工業は15日、3年間で約12億円を過大に売上高に計上する不適切な会計処理をしていたと発表した。社内の売上高の目標を達成するために、取引先に必要以上の商品を売る「押し込み販売」をしていたという。(2015/12/16 朝日新聞

従業員が業績達成のプレッシャーに負けて不正行為に手を染めたとのことです。東芝と似たような環境ですね。

 

押し込み販売とは

業績目標期日等に合わせて外部に無理やり販売して帳尻を合わせること。無理やりなので、基本的には相手が必要とする量より多かったり、そもそも注文していなかったりする。

購入先は必要以上の在庫を抱えるため、一定期間後に返品をしたり、在庫がはけるまで新規の注文を控えたりする。

決算対策として利用されることもあったが、無駄なやり取りを生じ、会社の数字もゆがめられてしまうため良いことはない。

 

曙ブレーキの押し込み販売

持分法適用関連会社である代理店(A社)との間の、当社製品である自動車用ブレーキ関連補修品(以下、商品)の売買契約に基づく取引において、当社は平成25年3月期第2四半期から平成28年3月期第2四半期に至るまで、第2四半期末及び各年度末の売上高及び営業利益を実際より大きく計上する目的を持って、A社との間で、同社の適正在庫量を大幅に超える量の商品の「押込販売」し、各期末の売上高及び営業利益を過大計上したものです。商品は当社工場から出荷しましたが、A社の営業所を含む倉庫には適正に収容しきれない商品を、実質的に当社が賃借していると評価せざるを得ない外部倉庫に保管いたしました。「押込販売」に協力してもらう見返りとして、手形期日の延長や本取引に伴うインセンティブの前倒し支払いなど、通常取引とは異なる特別な条件設定をしたものです。

まさに押込み販売の典型例といえるでしょう。

押込み販売の影響額は売上高で直近2億6千万円(計12億円)、利益で直近7千7百万円(計3億3千万円)です。

曙ブレーキ押込み販売影響額

なぜ起きたかの分析においては

  • 押込み販売を容認する組織の風潮
  • 達成が困難な業績目標の設定
  • 業績目標を達成するための圧力
  • 取引先との特別な関係(資本関係、人的関係)
  • その他、内部統制の不足、コンプラ意識の欠如、会計知識の不足、責任が不明瞭など

と結論付けています。

(参考資料 「曙ブレーキ 調査委員会の調査報告書受領及び不適切会計処理に関する再発防止策のお知らせ」)

 


以上、経営者の方はご自身の経営する会社で押込み販売が行われていないか注意し、もし行われている場合には良いことないので止めさせるようにしましょう。