これから起業しようとしている方、商売がうまくいって会社規模を大きくしようとしている方、はたまた子会社を設立してグループ経営体制に組織変更しようとしている方。

資本金について考えなければなりません。

 

今日は資本金をいくらにするべきか!実は様々な税金等を考慮すると資本金で有利不利があります。

具体的なケースで確認して、資本金の設定の目安にしてください。

 

資本金についての簡単なおさらい

資本金は会社に拘束させるお金で、外部からは会社の体力・規模を図る目安になります。

そのため、会社規模(資本金)の大小によって様々な規制が適用されたりします。基本的には大きい会社には大きいなりの規制がかかります。

資本金の額は1円~∞で自由です。基本的には、借り入れ以外に事業に必要な金額を見積もって資本金とします。

業種によっては許認可が必要なものもあり、その際には許認可の条件に最低資本金額が書いてありますのでそれに従ってください。

 

資本金1円のケース

最も規制も少なく、良いですが客商売には向かないでしょう。1円で設立するのは何らかの事情から株式会社という入れ物を利用するときくらいでしょうか。

 

資本金1000万円のケース

新設法人の消費税2事業年度免税が受けられない。要件は複雑なので詳しくは「基準期間がない法人の納税義務の特例 」をご覧いただきたいですが、資本金が1000万円以上になると消費税免除の特例が受けられません。消費税率は現在8%ですので、かなり影響があります。

 

資本金1000万1円のケース

日本には資本金1000万円に見えない壁があります。1円でも超えると大変不利な状況になります。

  1. 固定の税金(法人住民税の均等割)が跳ね上がる(10万円超)
  2. 下請け法の適用を受け、責められる立場に。例えば外注先への支払いを早くしなければならいなど

まずいですね。なので通常は1000万円又は未満をおすすめします。

さらに先を見ていきましょう

 

資本金3000万1円のケース

資本金3000万円以下は「特定中小企業者等」と言って、機械を買った際等に税務上優遇されたりと特例が設けられています。3000万円を1円でも超えるとそれがなくなってしまいます。

 

資本金5000万1円のケース

ここで、業種によっては信用保証協会付きの借り入れができなくなります。

順風満帆に商売ができているのであれば問題ないですが、困った時の信用保証協会付き融資が使えない状況は、使える会社に比べて打たれ弱い状況になります。

 

資本金1億1円のケース

この壁も大きい。資本金が1億円を超えると大変なことになります。

  1. 法人事業税の課税が大きくなる(外形標準課税の適用)
  2. 法人税の軽減税率が使えなくなる
  3. 交際費の損金不算入が不利になる
  4. 少額減価償却資産の即時償却ができなくなる
  5. 特定同族会社の場合、留保金課税で不利になることがある
  6. 欠損金の繰戻還付が受けられない
  7. 税金の管轄が鬼の国税になってしまう

だんだんと「こりゃ手に負えないわ」的な雰囲気が漂ってきましたでしょうか。このレベルになると経営者の能力云々ではなく、組織的に対応しないとダメです。

 

資本金5億円のケース

ここで会社法が登場します。資本金5億円以上は会社法に定める「大会社」という扱いになります。

この規模になると、会計士から会計監査を受けなければなりません。また、会社の機関設定次第では「内部統制システムの構築」が法で求められることになります。取締役の責任が大きくなるイメージです。

ちなみにですが、会計監査は資本金5億円以上でも受けていない会社がそれなりにあります。罰則が100万円と、少額なのでよろしくはありませんが受けない会社が多いと推測されます。

しかし、実際に5億円以上の会社の社長さんと話してみると、受けようかなという方向になりますが、会社の経理部門に止められたりします。それだけ大きな会社の経理部門は、監査を受けられるだけのしっかりした運営をしてほしいと願っています。なお、監査のご用命も当法人で承ります。

 


以上、いかがでしたでしょうか。

資本金をいくらにしたら良いのか迷ったらぜひお気軽にお問い合わせください。