アメリカのファイザーが23日合併を発表しましたが、その内容から税金逃れと炎上しています。

 ~ 中略 ~

本社をアメリカと比べて法人税率が大幅に低いアイルランドに移すことから、税金逃れ目的ではないかとの批判が広がっています。

「大統領は企業がアメリカでの義務を放棄し、税率の低い国に書類上移転するのは公平ではないと考えている」(米ホワイトハウス アーネスト報道官)

アメリカでは、企業が節税のため海外に移転する動きが相次いでいることから、政府が規制を強化したばかりで、今回の合併が承認されない可能性もあります。(24日07:31)

2015/11/24 ヤフーニュース)

 

この報道、合併はアメリカのファイザーと、アイルランドのアラガンで行われるのですが、アラガンが存続会社でファイザーが消滅会社の形式をとる見込みとのことです(日経報道)。当然、アラガンのほうが規模が小さいので、「逆さ合併」と呼ばれるきな臭い形式になります。

アイルランドに本社を有するアラガンが残るため、ファイザーの本社はアイルランドになる見込み。

 

アイルランドはタックスヘイブン

 

アイルランドは法人税率が12.5%(安い!日本はおよそ35%)と格安。税率が20%以下だとタックスヘイブン扱いされてしまうので、アイルランドはタックスヘイブン。

そもそもアイルランドってあまり聞きなれないかもしれません。どこか。

世界地図 アイルランドの場所

イギリスの左にある小さな島です。住みやすい国ではあるようですが、独立運動等でテロ組織(IRA)が活動していたりとなかなか安定していません。

そんなところになぜか世界の名だたる企業が本社をかまえている。グーグル、アップル、そして・・・ファイザー(予定)。

なぜか。それは税金が安いという理由が大きいでしょう。

 

究極の合法的な税金逃れ。ダブル・アイリッシュ・ダッチサンドウィッチ

アイルランド(アイリッシュ)に2社(ダブル)作り、その2社をオランダ(ダッチ)で挟む(サンドウィッチ)の形態です。

簡単に言うと「アイルランドに2社作り、1社はライセンスを持つ形式上の会社、2社目は管理業務を行う会社とする。1社目からオランダへ無税で送金、オランダからアイルランド(管理を行っている会社)に無税で戻す。そうすると基本的に世界のどこでも税金がかからない。」ということです。恐るべし。相当の数の弁護士を使ってこの仕組みを作ったのでしょう。法律的にはクリーンです。グーグルは2006年にアメリカの税務署(歳入庁)と事前にこの方法を交渉し、いくらか払ったという報道もありました。

専門的な解説は監査法人さんの資料をご覧ください。というより細かくて気持ち悪くなるので見ないほうがいいかもしれません(笑)

ところで、この手法、さすがに世界的に問題視されて2015年に新規ではできなくなりました。既存の企業は6年間は猶予されます。

~ 中略 ~

アイルランドは14年10月、同国登記の全企業に対して6年以内に同国に納税拠点を置くことを義務づけるよう税制を見直すと述べた。これで「ダブルアイリッシュ」と呼ばれる節税の仕組みが終わることになった。

~ 略 ~

2015/11/12 ウォールストリートジャーナル)

 

ダブルアイリッシュ・ダッチサンド死すともタックスヘイブンは死なず

さすがに、基本的に税金0円というやり方は終わりを迎えましたが、アイルランドの税率12.5%はそのまま。

今回の、ファイザーが本社をアイルランドに構えれば、利益をアイルランド本社に集めれば税率は12.5%!ということで物議をかもしている。

 

トランプ氏ですら”嫌悪”すると表明

Republican front-runner Donald Trump, who has called for a corporate tax overhaul, called the deal “disgusting” in a statement, saying “our politicians should be ashamed.”
2015/11/23 ロイター

アメリカ次期大統領になるか?!問題発言を繰り返しながら最前線を走る自らも大富豪のトランプ氏ですら非難。今回は彼の爆弾発言は無く、無難な発言でした。。。

 


 

以上、いかがでしたでしょうか。世界の租税回避はいたちごっこでしのぎを削っています。

米国では、税金は”費用”として考えているので、削れる費用は削って当たり前。日本とはだいぶ価値観が違いますね。

OECDで国際的な租税回避については世界全体で対応していく流れができてきています。

今後の動向に注目です。