自民・公明党の税制大綱が発表されました。127ページもあり、なかなか読むのにパワーが必要です。

目玉は法人税の実効税率を20%台にするという安倍総理の肝いりでしょうか。

実効税率と耳慣れない言葉かもしれませんが、実際の税率と考えておけば良いです。税の仕組みは複雑で、表面的な%で表せないので、それらを計算してこのくらいの税率になるというのが実効税率です。

毎年12月になると税制大綱の話題でニュースが盛り上がりますが、そもそも、税はどのように決まっていくのでしょうか。

今回はそこを解説させていただきます。

 

税制度の始まり。税制調査会

税はまず税制調査会(以下、税調)というところで審議します。

ここで勘違いが多く紛らわしいのですが、誤解を恐れず言うと税調には3種類があります。

ニュースや新聞で税調が出てきた際にはどこの税調か注意です。

内閣府の税調はどちらかというとハイレベルな税制の根本を検討する傾向があります。枠組みや基本的事項はこちらで議論されまとめられます。

基本的には実務・法律的な内容は与党の税制調査会で議論され、税制改正大綱としてまとめられます。

この時、与党の税制調査会は各省庁と業界の要望を調整します。

 

税制調査会が次年度の税制改正大綱を作成

与党の税制調査会は8月くらいまでに集めた各省庁等の税制改正要望を受け、12月に様々な要望を調整・まとめ上げた結果を税制改正大綱として公表します。この税制改正大綱を基本として年明けに閣議決定し、法案を国会に提出して3月に可決、新しい年度である4月から新しい税制が施行されます。

実は税制改正大綱は案であって決定されたものではないのです。

しかし、基本的に国会に提出される税制改正法案は税制改正大綱を元に作成されるので、実質的に税制改正大綱が翌年からの税制を決めることになります。

ただし、過去には税制改正大綱と異なる法案が提出されたこともありますので、念のため3月に知識をアップデートする必要があります。

晴れて、税制改正が正式なものとなった場合には財務省のHPに税制改正として公表されます。

ここでまたややこしいのですが、閣議決定された「税制改正の大綱」というのが掲載されています。

与党の税制改正大綱から閣議決定の税制改正大綱が作成され、法案が作成され国会提出。

紛らわしいですが、仕組みが理解できていれば大丈夫でしょう。


 

以上、このような国の仕組みがわかるとニュースや新聞の理解が進むでしょう。少しでも税に対して興味を持っていただけるとありがたいです。