起業して一番最初の契約が税理士との顧問契約という方も多いのではないでしょうか。

普段契約書をじっくり見る機会は一般の方はそんなに多くないかと思います。

 

突然、本格的な契約書の締結をお願いされる。

よくわからない。

税理士の顔を見る。

だますような顔ではない。

契約するか。

 

くらいの方も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは税理士との顧問契約の解説をしますのでご活用ください。

 

税理士との顧問契約の概要

顧問契約書は様々な形式があります。契約書の名称も業務委託契約から顧問契約、コンサルティング契約までさまざま。それぞれの事務所で特徴がありますので一概には解説できませんが、日本税理士連合会の出している税理士ガイドブックに契約書のひな型があり、これが最も一般的なものかと思いますので、解説のベースとします。

 

税理士顧問契約の解説

さて、税理士との顧問契約書に実際にどのような内容が記載されているのかを解説します。

  1. 契約の名称 契約の名称は自由です。業務契約書~顧問契約書まで。日税連のひな型では「業務契約書」となっています。
  2. 受託業務の範囲 なんの仕事を税理士がするのかを明確にします。基本的には税務代理と税務相談、場合によって記帳代行系や巡回監査でしょうか。その他、特定のコンサルティングをお願いする場合には記載します。
  3. 契約期間 一般的には1年間の期間を記載して、双方から停止の申し出がない限り自動継続する形式にします。
  4. 報酬の額
    一般的には添付資料(別表)とする契約書が多いでしょうか。日税連のひな型では、本文の条文にそのまま記載しています。通常、月額の顧問報酬、決算手数料、税務調査の立ち合い等特殊な場合の報酬を定めます。損害賠償の額を報酬の額を上限とする文言を入れることも多いです。
  5. 支払時期及び支払い方法 税理士の顧問報酬は、前払いもしくは当月払いが多いです。通常の商慣習だと末締め翌末払い等が多いですね。ルールはないので自由に決めて良い項目ですが、業界慣習も尊重して対応してください。
  6. 特定個人情報等の取扱い いわゆるマイナンバーの対応についての記載です。これは非常にボリュームがあります。記載内容については別記事「企業のためのマイナンバー対応必須版(税理士事務所との調整)」を参考にしてください。
  7. 資料等の提供および責任 税務に必要な資料は隠さずきちんと出してください。資料は適切に管理しますといったことが記載されます。
  8. 情報の開示と説明および免責 処理の選択肢が複数ある場合には確認しますということが記載されます。選択肢を説明して選んでいただいた後の責任は負いませんという文も記載します。
  9. 設備投資などの通知 これは、大きな問題ですが、設備投資をする際には消費税の扱い一つで納税額が大きく変わります。買うことを知らされていない場合には税理士側も対処できないので、買う前に計画段階で通知してくださいという内容です。あくまで顧問契約先(お客様)を守るためのものです。
  10. 反社会的勢力の排除 反社会的勢力と取引していると銀行取引停止処分等ありますから、当然の条項です。

 

以上、いかがでしたでしょうか。このように見ると、税理士との顧問契約書は難しいことはないですね。

逆に、これ以外が記載されている場合には、その意味、背景、争われた事例を聞きましょう。