今年の10月に消費税法が改正されて始まったリバースチャージというのをご存知でしょうか。
これは、いままで消費税がかからなかった取引に対しても消費税をとるために改正されました。
消費税はその名の通り、消費する方が負担する税なので、消費者の負担が大きくなります。私は電子書籍をよく読むので、値上げ(!?)のように感じます。
さらに、、、我々経理を扱う人間の手間も大きく増えるのです!
リバースチャージの背景
以前は、国外の事業者が提供したサービスを国内の人が受ける場合には、消費税は対象外でかかりませんでした。
楽天が展開しているkoboという電子書籍のサービスはご存知でしょうか。
日本の楽天が行っているのに、koboはカナダにあり、日本の消費者を対象に商売をしてます。なぜカナダか。。。消費税の対象外になるためです。これは、当時大変センセーショナルに報道されて楽天バッシングがありました。
同じ電子書籍をアマゾンや楽天で買うと8%安く買える(消費税を負担しないため)。
このような状況がありました。電子書籍で説明しましたが、インターネットを利用したサービス全般に言えることです。
通常、電子コンテンツを扱う事業は海外と国内の取引をきちんと区別して、手間はかかりますが消費税の適切な計算をしています。消費税の威力を知っているから。
消費者個人にはうれしい仕組みも、全体で見ると非常にいびつな状況です。
同じものを日本国内から買うと割高で、国外から買うと安い。同じものを消費しているのに、片方には税金がかかり、片方には税金がかからない。
これを何とかしようというので導入されたのが今回のリバースチャージです。
通常、国の年度が切り替わる4月1日からの導入が多いですが、10月1日から導入ということは相当急いだ結果でしょう。経理を扱っている人間からすると10月という中途半端な時に導入されるとかなり頭が痛いです。
リバースチャージの概要
インターネットなどを通じたサービスについては消費税の対象になるかの判断基準を「役務提供を行う者の住所」であったものを変更して、「役務提供を受ける者の住所」に変更しました。そのため、サービスを受ける人が日本にいる場合には消費税の課税対象になります。
また、消費税はもともと、売った人が納税する仕組みです。本来は海外のサービスを提供している会社が消費税を納税するのですが、BtoB(事業者と事業者同士の商売)の場合は、日本国内にある買った会社が納税するというルールに変わりました。ここもややこしい。BtoC(事業者と消費者の商売)の場合は海外の企業が納税しなければなりません。
例
インターネット上の広告配信、アプリ配信
電子書籍、音楽、映像の配信等 |
わかりづらいですね。
意外な感じですが、アプリ配信はBtoBです。
プラットフォーム(google playやapp store)と会社の取引なのでBtoBなのでしょう。
仕訳例で見るリバースチャージの面倒さ
まず、BtoBの場合とBtoCの場合で仕訳が異なります。
また、課税売上割合という指標が95%以上か未満でも決算の処理が異なります。
インターネットに広告を100万円出稿して使ったとします。
今までの9月までの仕訳は何も考えず、不課税なので
広告宣伝費 100万円 / 現預金 100万円 |
でOKでした。
10月からは
広告宣伝費 100万円 / 現預金 100万円
仮払消費税 8万円/仮受消費税 8万円 |
となります。新たに増えた仕訳は、消費税の申告書で調整されて納税額が決まります。
課税売上割合が95%未満の場合は、例えば80%の時は
控除対象外消費税等 1万6000円/未払消費税 1万6000円 |
のように決算時に仕訳します。
「何なんだこれは」という印象でしょうか。
朗報。”当面”は課税売上割合95%以上の場合はなかったものとして取り扱ってOK
当面は課税売上割合(税理士に確認してください)95%以上であればなかったものとして取り扱ってOK。
しかし、たまに決算締めて課税売上割合が95%未満になることもあるので、95%付近の方は仕訳手順の変更と納税の準備をする必要があります。
以上、いかがでしたでしょうか。
国際的な包囲網が狭まってきた感があります。しかし、代理等の法律的な構成要素の活用の仕方次第では骨抜きになる可能性もある仕組みかなとも感じます。今後の業界動向に注目です。