会社は最初に出したお金を資本金として事業を始めます。
会社を設立するときはそのお金が動いて会社に行ったという点を確認する手順があります。
お金を用意するのが当たり前。。。と思っていませんか?
実は、お金以外を資本金としても良いのです。
お金以外を資本金として会社を設立することを変態設立と呼ぶ
お金以外を出資金として出すことを現物出資といいます。
そして現物出資で会社を設立することを「変態設立」と呼びます。これは世間一般のきちんとした法律用語の呼び方です。
「変態設立」・・・なんとも微妙なネーミングです。
さて、もう答えが出てしまいましたが、お金以外の現物を出資することはできます。
お金以外を出資して会社を設立したりする場合には、例えば以下のような状況が想定されます。
- 個人事業者の法人改変(法人成り)
- 事業の切り出し(子会社設立)
- 事業再生
- DES-デッドエクイティスワップ (負債と資本の交換)
専門的には、いろいろ使えます。
一番多いのは個人で既に事業をされている方が営業資産を現物で出資することでしょうか。
ただし、この、現物を出資する方法は、場合によっては悪用されるので規制がかけられています。
変態設立時の規制
会社設立の際に、会社に本当は10円のガラクタを1000万円と評価して出資し、会社の資本金を1000万円と登録したらどうなるでしょうか。
会社には1000万円分の資金の裏付けがあると信じて取引した人が、いざ払ってもらうときになってお金がないので払えませんということになります。
そういうことにならないように、お金ではない現物を出資して資本金とすることは規制があります。
- 現物を出資できる人は発起人に限られる
- 裁判所の選任した検査役の検査が必要
1.については会社を作る人(発起人)しか現物出資できない点はそんなに問題にならないでしょう。
2.については裁判所の手続があるのでちょっと大変です。そのため、例外が設けられています。
- 500万円以下の価値で登録するなら検査不要
- 有価証券なら検査不要
- 弁護士、公認会計士、税理士の証明を受けた場合には検査不要
ということに平成14年の商法改正でなりましたので、使いやすくなりました。
既に個人事業として行っている事業の、債権、商品、不動産や備品、営業権(のれん)を出資金としてそのまま会社の資本金に充てることができます。ただし、手続きは面倒なのでやりきる覚悟は必要です。
以上、変態設立で会社を設立してみるのも特徴があって良いかもしれません。
2016/1/13 追記
上場企業も現物出資を活用。債務を株に代えたホットリンク
現物出資の概要
検査役調査について発行済み株式の10分の1を超えないことから省略