三菱は自動車に引き続き災難続きですね。今回は電機で着服案件が出ました。

新幹線のネット予約システムの保守業務を巡り、架空発注を繰り返して勤務先の三菱電機(東京都千代田区)から約2千万円をだまし取ったとして、警視庁は、同社元社員で50代の男を8日にも詐欺容疑で逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。以下略 (2016/6/8 朝日新聞

この方は別の会社から三菱電機に出向中だったとのこと。不正が判明した経緯はいつものとおり国税調査。

国税調査は、取引の相手方にも調査できるので不正発見率高いですね。

とはいえ、三菱電機は上場企業なのですから、内部監査、外部監査があるはずです。自浄作用が弱かったのでしょうか。

裏が取れて逮捕までこぎつけた被害額は2000万円ですが、三菱電機の内部調査によると元社員が関わった被害の総額は約4.6億円であるとのことです。本件は複数の社員が関与している報道もされており4.6憶は今回逮捕された方の懐に入った分という意味ではないでしょう。判明している手口としてはJR東海とJR西日本が共同で運営する「エキスプレス予約」というシステムの保守業務にかかる架空外注で別会社に支払い、その額を自身の口座に振込なおして着服。遊興費に使ったとのこと。

しかし、腑に落ちないことがあります。出向社員に数千万円の発注権限。老舗名門上場企業がこんなミスをするか。出向社員については通常は平社員程度の権限しかない場合が多いです。例外としては合弁会社で全社員が基本的に出向のケースなどは通常の社員と同じ権限になります。出向社員が外注の意思決定を行う際には、取引先の調査は慎重に行います。一般社員に比べて犯罪や不正な競争に使われる可能性が高いためです。例えば、B社の社員をA社に出向させて、その出向者がA社からB社に発注を積極的に流すとB社は儲かりますね。逆にA社にとっては経済合理性ではない判断が行われるため競争力が低下します。また、4億6千万円もの被害を受けながら、同僚や内部監査で発見できないというのも違和感があります。なお、本件は2013年に発覚した案件ですのでだいぶ昔の既出の情報です。2000万円以外のその他4憶4000万円は会社の管理にも重大な落ち度があって刑事告訴はできなかったのですかね。

 

追記(2016/6/28)

警視庁は28日、同様の架空発注に関わっていたとして、同社のIT関連事業を担う子会社の元社長(70)と、三菱電機の別の元社員の男2人を詐欺容疑で逮捕する方針を固めた。~中略~ 元社長らは2009年、三菱電機がJR東海(名古屋市)から請け負った新幹線のチケット予約システムの保守業務を、横浜市のコンピューター関連会社に外注したように装い、業務委託費として約4千万円を支払わせてだまし取った疑いがある。詐取金は架空の委託先から元社長らに還流させていたという。以下略 (朝日新聞 2016/6/28)

最初の報道の際に、どこか腑に落ちないと感じておりましたが、組織ぐるみの犯行であったようです。