本日、39億円を海外に送金し、強制執行を妨害したとして西山正彦容疑者(69)が逮捕されました。容疑者は「かつては京都の政財界に影響力を持つ有力者『京都五山』の一人に数えられていた」と語られ、知る関係者は「極めて頭の切れる男。宅地開発の土地転売などで若くして成功し、人脈を広げていった」とも語られています。

捜査関係者によると、西山容疑者は2013年2月ごろ、旧住宅金融専門会社(住専)の債権を引き継いだRCCの取り立てを免れるため、自身が実質経営するガソリンスタンド経営会社「アルフレックス」(京都市中京区)の資金約39億6千万円を香港の口座に移し、強制執行を妨げた疑いが新たに持たれている。

強制執行が行われる前に海外に資金を送金して隠す。ありがちなパターンかもしれませんが、現在は難しくなっています。銀行が送金の時に根ほり葉ほり聞いてきて、さらに契約書や請求書なども提出させられるのです。

 

なぜか。。。

 

世の中には、国外送金等に係る調書提出制度というものがあります。

100万円以上の資金を海外に送金した場合には銀行から税務署に調書が作成され報告されます。監視されているのです。

最近は公表されていないので少し古い情報になりますが、平成22年時で365万枚(国税庁レポート2012)。今は1000万枚くらいかもしれませんね。

会社で大きなお金を海外に送金するときは、銀行から前述したように根掘り葉掘り聞かれます。調書作成のためですね。

ちょっと変なところがあると、送金できないと断られたりもします。会社側からすると「そんな馬鹿な!」という感じです。

ただし、海外に資金を移動させてしまえれば、逃げ切れる可能性も無くはない。

今回の逮捕は強制執行を妨げた疑いで逮捕されています。海外は通常、日本の機関が執行権があるわけではないのです。お金が移動したということは把握しているが、そのお金を押さえづらい。それが海外。

海外の複数の金融機関を通過させて、増資目的で資金を日本に還流させるというマネーロンダリングのようなことをしていたようです。

しかし、税務の世界は厳しい。近年は租税条約に執行権の協力まで織り込むケースが見られます。

きっと近い将来は、日本と国交が薄い国以外ではすぐに執行(お金を押さえる)されるでしょう。

税務に続いて刑事、民事も条約が整備されていくかもしれません。

 

余談ですが、税務署は送金調書をもとに怪しいと判断したものには調査をします。

海外送金をしたらいきなり税務署からお尋ねが来た!と慌てるお客様のご相談を受けますが、特にやましいことがなければ税理士に任せるのが良いでしょう。さらっとこなしてくれるはずです。