起業を志したとき、日本の会社がどれくらい生まれていて、どれくらい廃止されているのかは把握しておくと良いでしょう。
「日本を支える中小企業」といわれるように、日本の競争力や技術力を支えています。会社の数では99.7%が中小企業ですから日本の会社のほとんどが中小企業ですね。
中小企業基本法による中小企業の定義は下表のようになっているので、通常は皆さん中小企業からスタートです。
会社を設立して中小企業としてスタートされる方はどれくらいいるのでしょうか。また、どれくらいの方が会社を畳んでいるのでしょうか。
日本の会社設立は実質減少傾向
まずはグラフにまとめましたのでご覧ください。
(出所:中小企業白書「会社の設立登記数及び会社開廃業率の推移」を元に当社グラフ化)
パッとみてオレンジの線(会社開業率)が減っているのが見て取れます。
以前は10%程度あった会社開業率(前年からの増加分)が最新の2012年度は3.6%。
開業率と廃業率が拮抗しているのもわかると思います。
会社設立件数については、2006年の会社法改正により有限会社の廃止と株式会社における1000万円の資本金規制が撤廃されて、1円から作れるようになり、規制緩和がされたのにも関わらず横ばいです。2012年度は91,942件会社設立がありました。近年は会社設立が非常に手軽になり、様々な組織再編や金融スキームの「ハコ」として設立される傾向がありますので、実際に起業により設立される数はさらに少なくなっているのではないでしょうか。
最近景気の良いアメリカを見てみると、2011年で会社の数は568万社。うち、従業員500名以下の会社数は99.7%(日本の中小企業の割合と同じ!)。開業率は9.3%です。日本とよりもはるかに開業と廃業が活発ですね。
(データ元:U.S. Small Business Administration )
日本は商人(あきんど)が減ってきている
以上、数値で見てきたように、残念ながら、日本は新規の開業がどんどん少なくなってきて勢いがなくなっています。
安定を求め、大企業を志望する若者も多いです(大企業が真に安定かは議論があります)。商売して儲けようという方は少なくなってきているのではないでしょうか。どうしても、うまくいかないときのリスクを考えて足踏みしてしまう。
しかし、将来的には現在横ばいの会社数も、TPPにより投資が自由化され、海外の方が日本でビジネスをするケースが増加し、会社数が増えるのではないでしょうか。逆に日本人にとっては、各国の法整備が進み、チャンスは世界に広がっていきます。気合の入った起業家が、一旗あげようとイノベーティブなアイディアを持って世界を盛り上げる。日本人は欧米人が見向きもしないことを辛抱強く続ける傾向があるので、可能性もあるでしょう。日本人気質を持った商人が世界で活躍できるよう我々税理士法人も少しでもお手伝いできればと体制を整えてまいりたいです。