先日、祖母が亡くなりました。100歳近くでしたので大往生です。

日本は延命治療を行うのが一般的なので、寝たきりの期間が1年以上で長かったです。会うたびに故人になぜこうなのか聞かれて答えに窮したものです。

 

日本は高齢化が進んでおり、内閣府の推計によれば、2035年に65歳以上が33.4%で3人に1人の割合となる見込みです(内閣府 平成26年高齢化社会白書)。シルバー産業のマーケットは拡大を続けるでしょう。

 

起業家の方は一度はシルバー産業のマーケットについて考えたことがあるのではないでしょうか。

 

今回は、シルバー産業のうち、老人ホーム事業についてお話します。

 

日本の置かれている状況を確認

  • 高齢化社会が進む(2030年には75才以上の方が全人口のおよそ20%、2035年に33%以上が65才以上の高齢者)
  • 核家族化が進んでおり、単身の高齢者が増加(単独または夫婦のみが過半数)
  • 施設入居者数は最新の平成27年7月統計で907,732名(高齢者人口は平成27年9月推計で3,384万人なので、およそ2.8%が施設入居者)

マーケットとしては魅力的な要素が多いです。

 

老人ホーム”的”なもののまとめ

根拠 名前 概要 広さ 補助金
老人福祉法 介護付き有料老人ホーム 都道府県から介護保険の「特定施設入居者生活介護」の認定を受けたもの。介護スタッフの常駐とケアプランに沿った介護サービス

都道府県(一部市町村)の審査があります。

13㎡以上
住宅型有料老人ホーム 介護付きではない老人ホーム。「特定施設入居者生活介護」の認定は受けていない
高齢者住まい法 サービス付き高齢者向け住宅 バリアフリーで一定の面積がある住宅に安否確認と生活相談サービスがあるもの 25㎡以上

 

いかがでしょうか。都内を歩いていると、1階にケアセンター(介護施設)があるマンション増えていますよね。あれはサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの可能性があります。

一方、介護付き有料老人ホームは審査が必要で、公募事業なので始めようと思ってもなかなか進まないこともあります。しかし、要介護の方は介護付き有料老人ホームで、要介護ではない方が住宅型やサービス付きに入居するかというとそうではありませんので注意が必要です。そもそも、こう言っては何ですが、要介護の方は施設運営者からするとドル箱なのです。。。(ブラックですみません)

 

老人ホームはどれくらい商売になるんだ。どれくらい儲かるんだ。

このビジネスで上場している会社があります。

有料老人ホームを中心に展開する株式会社メッセージの最新(平成28年3月期 第2四半期)の数字を見てみましょう。

メッセージ決算数値

売上高は400億に対して営業利益が43億。営業利益率は10%を超えます。

資産合計は590億円で、半年間の利益が43億円ですので資産効率はなかなか良いビジネスですね。

しかし、油断大敵。トラブルには十分備えなければなりません。この会社も業務改善を要求されています。こういうことがあるといきなり売上が落ちる可能性があります。

~略~

川崎市の施設と同じ系列の大阪・豊中市の施設でも、職員による虐待が確認されるなど問題が相次いでいるとして、厚生労働省は、13日実質的に施設を運営する親会社で岡山市にある「メッセージ」の佐藤俊雄社長を呼び、業務改善勧告の文書を手渡しました。

~中略~
メッセージの佐藤社長は、「施設での転落死や虐待はあってはならないことで重大な事案として受け止めている。職員への研修を徹底的かつ確実に行い業務管理体制の見直しを図りたい」と話しています。

NHKニュース

介護は職員にとってストレスフル。経営者として十分なケアが必要でしょう。

 


 

以上、いかがでしたでしょうか。

ITのような華やかさはありませんが、積み上げ型の比較的固い、渋いビジネスです。

遊休の土地をお持ちの富裕層の方や、シルバーの世の中を良くしたいと志を持っている方などに向いているのではないでしょうか。

なお、不動産業と違い、継続的に入居者と関わるビジネスですので、セールスポイントや顧客満足度等違いますので注意が必要です。

起業やサイドビジネス、成功されている会社の多角化の一つとしてご参考にしてください。