日経記事でザワザワする記事が出ました。

偽造された遺言書を使い、相続した遺産を社会福祉法人に寄付したように装って相続税約4億9千万円を脱税したとして、大阪地検特捜部は22日、不動産管理 業、高木孝治容疑者(73)=大阪府東大阪市=と税理士、岩上順容疑者(63)=大阪市北区=ら計7人を相続税法違反と偽造有印私文書行使の疑いで逮捕し た。特捜部は認否を明らかにしていない。

日経 2015/11/23)

 

事件の概要

本件は、10億5千万円残して亡くなられた方の財産の相続税を逃れるため、遺産の大半を社会福祉法人に寄付したという文書を偽造して税務署に提出したため、逮捕されました。

 

公益法人などに寄付した遺産は相続税の対象から除かれる

特例で、特定の公益法人(独立行政法人や社会福祉法人)に寄付した場合は相続対象から除かれる。

実は、この方法は相続対策では、たまに行われます。

なぜか。。。

色眼鏡かもしれませんが、富裕層の方は美術や学術に情熱をお持ちの方が多いです。

亡くなられたのち、自分の財産をそのような分野の振興に利用してほしいと強く願う方が多いため、寄付が使われます。

さらに先進的な方は、家族の方が運営できるよう、特定の公益法人を生前に設立して準備される方も・・・

 

文書偽造で脱税しようとしても無駄

本件は、遺言書と寄付をしたとする虚偽の申告書の作成で逮捕されました。

10億というお金を書類の偽造で脱税しようとは、なんと低レベルな事件だろうか。というのが感想です。

税務署は実際にお金が動いたか確認するのは簡単です。

ちなみに、同様の仕組みを利用したより高レベルな事件もありました。

こちらは、社会福祉法人に一定の支配力を持ったうえで、実際に社会福祉法人に寄付をしたうえで、不正に引き出すという事案でした。

和歌山県日高川町の社会福祉法人で、寄付として法人口座に入金された1億円が直後に引き出され、使途不明になっていることが21日、法人関係者などへの取材で分かった。寄付の原資となった相続遺産の会計処理に不正があった疑いもあるといい、大阪地検特捜部などは同日、相続税法違反容疑で法人関係先を家宅捜索した。

中略

今年1月の臨時理事会では他の出席理事から「遺言書は本当に自筆のものか」「出金されているのはおかしい」と会計処理への疑問が噴出。入出金に関与した男性理事を敬愛会に紹介した県議の責任を問う声もあった。

後略

(サンケイ 2015/10/22)

いや~、世の中にはすごいのいるものですね。

本件は、税理士の他、落語家と県議まで逮捕。広がりました。

対象資産1億円くらいで、こういうことをして刑務所に入るのは愚の骨頂。

3重苦の社会福祉事業家のヘレンケラーさんの爪の垢でも煎じて飲ませたい。

きちんと納税しましょう。