先日の「[ケーススタディ] 上場企業が倒産に至るまで」という記事が好評でしたので第二弾をお伝えいします。
今回は小僧寿しが13日に発表したIRに焦点を当ててみていきたいと思います。
小僧寿しの会社沿革
(ソース元:株式会社小僧寿しHP)
ちょっと長いですが、突っ込みたくなるところがあります。
まず、創業後、順調に成長して昭和47年に法人成り。その時の名前が「株式会社小僧寿し本部」となぜか名前に本部が付いている。会社の名前(商号)は基本的に会社の一部門を差すような名前は法務局で弾かれてつけられないので、ギリギリの会社名でしょうか。なぜ会社名が本部で終わるのだろうか。
基本的には上場してから早い段階で「すかいらーく」の子会社になり(なぜ上場したんだ・・・)、その後投資ファンドに売却されたり、元商社マンの社長が筆頭株主になり社長就任するなど迷走しました。
平成26年の「代表取締役社長の異動」という記載も沿革に記載されているのは、なかなか異彩を放っています。
小僧寿しの凋落
沿革を見ると、一時は加盟店2000店舗を超えて絶頂を謳歌していた小僧寿しも回転寿司やスーパーでの寿司販売に押されて赤字転落。すかいらーくの子会社になったものの、すかいらーく自体が経営不振に陥り産活法の適用を受けたMBOで上場廃止。小僧寿しもファンドに売却され、通信関連会社出身の木村氏が社長に就任し、安売り路線に舵を切ったが大幅赤字を計上して大規模リストラ。その間に木村氏は会社を傾かせたのにも関わらず、140円で買った小僧寿し株を300円前後で売り抜け社長から退任。社長の後を継いだ三菱商事出身で米国弁護士肩書を持つ大西氏は正式な手続きを経ず、怪しい出費を繰り返し、就任後半年間で辞任。現在は後を継いだ方が経営されています。
従業員不正の調査結果(中間報告書、最終報告書)
- 取引先B社から出向してきたA氏が出向元の取引先Bと架空発注により不正
- 取引先B社から出向してきた方は無償で小僧寿しの業務
- 取引先B社と小僧寿しの間の取引は少額だった
- 架空発注した商材はイナリ皮。もともと取引先B社とはイナリの取引無し
- 取引先B社から、実績のない入金について問い合わせは無し
- 期間は平成25年10月から平成27年5月まで
- 不正の額は8276万1750円(税込)
- 発覚の経緯は、月次で異常な増減があったため調査
- 渦中のA氏は発覚後死亡
- イナリ皮の架空取引発覚後、取引先B社から1年以上前のマグロスライス代およそ3000万円の支払いが請求される(契約書等無し)
恐るべし・・・皆さま、如何感じられましたでしょうか。
A氏含む渦中の実行犯と見込まれる重要参考人2名が相次いで死亡しています。
イナリ皮及びマグロスライスを扱っているB社は一体全体どんな会社なのか。
何かしっくりこない。どこかに深い闇がありそうです。
そして不正の開始時期である平成25年10月。平成25年10月3日に大西氏が社長に就任しています。
実は、平成26年5月に不適切な出費により辞任に追い込まれた大西氏は、辞任後、業務上横領で逮捕されています。
逮捕時には借金取りから逃げるため住所不定でした。六本木ヒルズの家賃や個人的な借金で、計約9500万円もの債務を抱えていたとの報道もありました。
さらにお約束かもしれませんが、財産を隠して強制執行を妨害したとしてさらにまた逮捕されています。強制執行妨害については昨日もニュースが出ており記事にしました。
タイミングは偶然かもしれませんが、真相は闇の中です。。。
いかがでしたでしょうか。寒い時期に背筋が凍るような内容ですね。
事実は小説よりも奇なり
今回の内容は、昔読んだベストセラーの「IT社長大失脚」を彷彿とさせました。未読の方は一読をお勧めします。会社を狙う集団にくいものにされつぶされた元社長の実話です。