中古マンション市場に異変が起きている。

以下、日経記事。

 

~ 前略

在庫数は1万827戸で前年同月比で33.6%増えた。特に価格が大幅に上昇している東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京)の増加幅が大き い。10月の在庫は2794戸で、前年同月比56.4%増えた。「売り手と買い手の希望額が離れすぎて成約しにくくなっている」(不動産仲介大手、東急リ バブルの榊真二社長)という。

~ 後略

2015/11/24 日経

 

一方で中古マンションの価格は14か月連続で上昇を続けています。

価格は上がり続けるが、売れない

この状況が続く場合は価格下落の引き金になるでしょう。

 

売れない・・・一つは、旭化成建材のくい打ち問題がいわれています。現在は、くい打ち専門の大手も相当数のデータ流用があるという報道がされており、一部では、データ流用は業界慣行という報道もありました。今後も長期間心理的に影響するでしょう。

しかし一方で、逆に考える人も多い。新築マンション買うのは躊躇するが、中古マンションは安心感がある。

「20年経過しても傾いたりしないのはくい打ちがしっかりしている」、「あの東日本大震災の時でも傾かないマンションはくい打ちがしっかりしている。」

中古マンションが注目される理由を、ある不動産関係者はこう分析している。「欠陥マンションの場合、ほぼ築10年以内に何らかの症状が現れる傾向にあります。そのため、10年が経過しても、きちんとした物件を選んだほうが確実との考え方はあります」と話す。

2015/11/1 J-CASTニュース

結局、傾斜マンション問題は中古マンション市場には、もしかしたらそんなに影響していないのかもしれません。

 

実は、税金関連でマンション市場に逆風が吹き始めているのです。

 

タワーマンションの節税対策が難しくなる

国税庁は全国の国税局にタワーマンションを使った相続税の節税のチェックを厳しくするよう指示した(2015/11/3 日経)。

タワーマンションは土地の部分は小さく(総戸数が多いため)、建物の部分の価格が大きい(建築費用が高いため)。

建物の部分は減価償却もされ、どんどん目減りします。相続の時は目減りした額で評価される。

上層階は高値で取引されることも多いので、投資性も兼ね備えている。そんなわけで売れていた面もあるのです。

今後は、あまり節税を全面に押し出せない雰囲気になりました。

 

金融庁から税制改正要望として上場株式の相続税評価の見直しが出される

なんと、来年度の税制改正要望で”金融庁”から上場株式の相続税評価を引き下げるように要望が出ました。

実は、怖い国税庁と金融庁は実は同じ家(財務省)に属しています。つまり、金融庁から出たということは一つ上の財務省もOKということ。実現するでしょう。

 

 

現在は上場株式を残して亡くなると、悲しいドラマが待っています。

相続税の評価100%。

納税のために売って手放す。

亡くなった日の株価から売るまでに暴落するとさらに納税が厳しいことになる。

そんなわけで、相続の際は株券を処分して土地や建物、その他にするのが対策として人気でした。

例えば、土地にすると相続税評価額は大体時価の80%になる。

しかし、今回金融庁から出た案は、上場株式の時価の70%を相続税評価額とする。

土地よりも有利じゃないか!

というわけで、来年度以降は子孫に残す財産としての不動産購入が減る方向でしょう。

 


 

追記2015/11/30 自民党の税調で見送り報道 日経より)

最強官庁である財務省の提案も政治(自民党)に阻まれている模様。同じく金融庁の提案である「2016年度の税制改正で要望している株式などの取引と金融派生商品(デリバティブ)取引との損益通算」についても見送りの方針になりそうだという報道もありました。理由は、デリバティブによる節税の問題を完全には排除できない。そもそも税の問題で”完全”に排除できるものは無いんですが・・・

 


 

以上、節税対策には常に税制改正というリスクが付きまといます。

気を付けて、毎年見直しましょう。